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アンドロメダ銀河は肉眼で見える最も遠い天体であると言われています。

地球からの距離は250万光年。つまり我々は250万年前に発せられた光を見ていることになります。250万年前というと、地球では最初のヒト属であるホモ・ハビリスが誕生したのがその頃だそうです。

地球が属する「天の川銀河」の大きさは直径が約10万光年ですから、例えて言えば、間口10mの土地に住んでいる我々のお隣さんは250m離れたところにいる。互いにポツンと一軒家の住人というわけではなさそうです。

さて、肉眼で見えるといっても、それはよく晴れた空、光害のない場所、目のいい人という条件があります。私は夜空を見上げて、それと認識したことがありません。まあ、アンドロメダ銀河はこちらに近づいてきており、50億年後くらいには天の川銀河と衝突するらしいので、2〜30億年もすればもっとよく見えるようになるかもしれませんね。

それはさておき、最近カメラの「星空モード」で適当に夜空を撮影したらなにやらボーっとしたものが写っていて、どうもそれがアンドロメダ銀河らしかったのです。それならば、ということで本気で写真撮影に挑むことにしました。

とはいうものの、これまで写真は「何が写っているか分かれば良し」という態度でやってきているので、レンズ交換ができるような高級カメラは持っていないし、まして天体撮影に必須の赤道儀もありません。あるのはコンパクトカメラと固定三脚だけ。

これでどこまでやれるかという勝負です。

調べてみると、複数の写真を合成することで暗い星を浮かび上がらせる「スタッキング」という手法があるということが分かりました。そのための専用アプリもフリーウェアで出ている。これならば、星の動きが尾を引かない程度に短い露出時間の写真をたくさん撮ればいいので、赤道儀で星を追尾する必要はありません。

実は、冒頭の写真はこうして撮ったものです。暗い星もまずまずたくさん見えていています。肝心のアンドロメダ銀河は、中心は明るく写っているものの、すこし離れるとすぐに背景ノイズと区別がつかなくなって、渦巻き構造を確認できるまでには至りませんでした。

今回はこれで精一杯ですが、これでも苦労したんです。

まず、目標がどこにあるか分からない。1枚撮影してカメラの液晶画面で確認しても見えるものではありませんから、「カシオペアがあそこだから、たぶんあの辺り」と見当をつけるのですが、PCに取り込むまで画角に入っているかどうか分からないのです。これで2晩を無駄にしました。

そもそも季節が悪いですね。アンドロメダ座は秋の星座ですから、真冬の今はかなり低い位置にあります。しかも西の空。高い位置にある時間帯はまだ空がうっすらと明るいので、空が暗くなるのを待つわけですが、そうするとどんどん低くなっていく。

それに寒かったです。今冬最強の寒波が来た頃に、公園の隅の暗がりで1時間以上もシャッターを押し続けていました。

気が向いたら秋に再挑戦します。11月ならば、いい時間帯にほぼ天頂にあります。

以下は備忘のための記録です。

■撮影
 日時 2023年1月30日 20時から21時頃
 場所 静岡県裾野市
 カメラ Canon PowerShot G9 X Mark II
 露出時間 2.5秒(1枚あたり)
 ISO 3200
 F値 4.9
 光学ズーム 最大(3倍、焦点距離30.6mm)
 ファイルフォーマット RAW(*.CR2)
 画素数 3648 × 5472

■スタッキング
 使用ソフト Deep Sky Stacker 4.2.6
 スタック数 Light 223files,Dark 2files
 スタック方式 Auto Adaptive Weighted Average

■画像処理
 使用ソフト GIMP 2.10
 処理 カラー調整、サイズ調整(50%縮小)、トリミング

ということで、ソフトウェアは2種を使用して、ともにフリーウェアです。買ったものは、星座早見盤(297円)と星図(Sky & Telescope’s Pocket Sky Atlas)Kindle版(794円)でした。あ、夜道の安全のための反射タスキ(198円)も。

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