ギターの何が難しいと言って、旋律をレガートにつなげることほど難しいことはありません。
違う弦に渡るときならばなんとかなりますが、同じ弦の上で旋律を繋げなくてはならないときには、前の音を発しているまさに振動中の弦に触れなくてはならないので、必ず音が途切れます。
そこで、時にスラーを使い、時に他の弦の共鳴を利用し、あるいは別の声部に聴衆の注意を向けさせ、あの手この手でごまかそうとするわけですが、本質的な解決策は、次の音を発するギリギリ直前まで前の音を持続させることです。
つまり、左手ならばポジション移動や押弦を高速で行うこと、右手ならば弦に触れてから弾き終わるまでの時間をできるだけ短くすることが求められます。プランティングとか言ってる場合じゃありません。
で、それが私の右手には辛いんです。旋律が1弦上であれば、ちょっと離れたところに待機させておいた指を勢いに任せて弦にぶつけることもできますが、2弦3弦となるとそうもいかない。指先をできるだけ弦に近づけておき、だけど発音タイミングの直前まで決して弦に触れてはいけないわけで、それは至難の業というものです。
ソル先生は、そんなことをさせる曲をちゃんと用意してくれているんですよねえ。
■No.5 Allegretto Op.35-22
「月光」ですね。この曲の収録は2回目ですが、ちっとも進歩していません。
今回は基本的にpimの3指を使い、それぞれベース、中声部、主旋律を割り当てました。つまり、しっかりと繋げたい主旋律は、私のフォーカル・ジストニア的にもっとも厳しいm指で弾かなくてはなりません。
・・・が、やっぱり無理。空振りを心配しているのか、早く安定を得たいのか、どうしても早め早めに弦に触れてしまいます。
特記事項がもうひとつ。それは「右手のポジション移動」です。
mとiで弾く弦は『1弦と2弦』のときと『2弦と3弦』のときがあって、その切り替えをしっかりと意識しておく必要があります。具体的には、手首全体を高音弦側←→低音弦側に動かして、タッチの際の指の曲がり具合が常に一定になるようにしたい。そうでなくて、指の曲がりと伸ばしでなんとかしようとすると、思った以上に曲がってしまい、また、伸ばそうと思っても伸びず、空振りをしがちなんです。
■No.6 Moderato Op.35-17
だれがつけたか、「夢」とも呼ばれているんだそうで、たしかに綺麗な旋律です。
その旋律、1本の指で弾くこともできなくはないかもしれませんが、普通は2本の指を使いますよね。わたしは基本的にmaで弾きます。1拍目がa指、その前の8分音符がm指です。
このパターンを維持しようとすると、いわゆる逆指、つまりm指で高音側の弦を弾き、続けてa指で低音側の弦を弾く場面が出てきます。なので、「月光」以上に右手のポジション移動をしっかりと意識する必要があります。
とか言いながら、動画を見てもよく分からん。