局所性ジストニア その9

2020年03月22日

■フォーカルジストニアはどの段階の問題か

さて、前回は脳内の機能を模式的に表しましたが、これを想定したとき、フォーカルジストニアはどの部分の問題なのか。おそらくは「シーケンサ」の部分だろうと考えています。

この1年は単音と重音(2音、3音、4音)をゆっくり弾くということをやってきましたが、症状は起こりませんでした。私の主症状である「a指の弾弦時のm指が曲がり」は、ゆっくりと弾くかぎり、a指の連続弾弦でも、aとmの交互弾弦でも症状は出ません。

「ゆっくり」というのは、1音の弾弦が完全に終わってから次の指の運動に入るというのが基本です。これをやると、最速で1秒に3回くらいが限界です。なお、1音の弾弦、すなわち「伸ばす~曲げる~戻す(脱力する)」の一連の動作は短時間に行われます。個々の弾弦動作が緩慢なのではなくて、弾弦と弾弦の間の時間が長いということです。

また、弾弦時にほとんど力を入れていません。したがって音も小さい。なので、もしかしたら力加減も発症の有無に関係しているかもしれません。

■リハビリの基本方針

フォーカルジストニアが脳内の神経回路の誤作動、すなわち、動くべきでない指に動作指令が発せられているということを前提として、リハビリの方針を考えました。

なお、便宜上「リハビリ」という言葉を使いますが、私がそう信じてやっているだけのことであって、正しいリハビリであるという保証はありません。念のため。

さて、そんな自己流リハビリで最も重視しているのは「発症するような弾き方をしない」ということです。

神経回路は使えば使うほど太くなる。そうすると、わずかな信号でも確実に伝わるようになる。とすれば、誤作動をギブスのようなもので物理的に抑えながら演奏を続けると、本来働くべきでない神経回路がどんどん太くなり、また筋肉や腱を痛めることにもなりかねない。

そうならないためには、脳内の大元からそういう動きをするような指令を発生させないことが重要と考えました。つまり、使われない神経回路はどんどんやせ細っていくはずである、と。

そして、発症しない範囲を見極めながら、これまでとちょっとだけ違う動きで所望の音が得られるようにしたい。

「ちょっとだけ違う動きで」というのは、働くべき神経回路のすぐ近くに働くべきでない神経回路があって、ときどき両者がショートするというイメージに対して、働くべき神経回路にちょっとだけ移動してもらって、ショートを発生しにくくしようという考えです。具体的には、楽器の構え方や指と弦の位置関係を見直すことで実現しようと考え、やってきています。

リハビリの方針を図にするとこんな感じでしょうか。矢印が神経回路を表すものとします。


フォーカル・ジストニア事情(その1)にこんなことを書いていました。

『短時間にa指を何度も動かすとm指がどんどん曲がっていきます』

ところが、いま同じことをやってもm指がどんどん曲がるという症状は起きません。まだ本格的に演奏できる段階ではないと思っていますが、多少なりとも症状が改善してきているんでしょうか。

次回はこの1年間に実際にやってきたことを記載するつもりです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です