局所性ジストニア その10

2020年03月29日

今回はこの1年間でやってきたことを書きます。
「発症するような弾き方をしないこと」を厳重に守りつつ、どこまでのことができるかを探りながら進めてきました。したがって、やってきたことはかなり限定的です。

■やってきたこと
順不同で列挙します。

♪全般
単音または重音をゆっくりと弾きました。
前回も書きましたが、「ゆっくり」というのは一回の弾弦が完全に終わってから次の指の運動に入るというのが基本です。連続弾弦とみなすことができない程度に時間間隔をおきます。一回の弾弦はできるだけ通常の速さで行います。

♪テンポ
1秒に1回くらいの弾弦から始めました。自然にまかせるとつい早くなりがちなので、メトロノームを使いました。
もうちょっと早くしても大丈夫と判断したところでメトロノームの速度を上げました。この1年で、1秒に3回くらいの弾弦も大丈夫というところまできました(ただし、後述するように音量は小さい)。

♪右手のポジション
ima指をそれぞれ隣り合った異なる弦におきました(もちろんi指が低音側)。そういうポジションで弾ける曲だけを選んでいます。
できるだけ力を抜いた状態で楽器を構えると、私の場合はpimaの各指がそれぞれ5弦、3弦、2弦、1弦のあたりに来るので、その状態で弾弦することを基本としました。
imで2弦、1弦を弾く場合(あるいはimaで4、3、2弦を弾く場合)は、肘から先を手首の方向に(あるいは肘の方向に)直線的に移動させます。そうすることで、弾きたい弦と使う指の位置関係が一定に維持されます。

p指はi指との間を広げたり狭めたりすることで低音弦のどこでもいけるだろうということで、あまり気にしないことにしました。

♪右手のタッチ
爪を切りました。また、指先をできるだけ深く弦にかけるように心がけました。
これはいくつかの理由があります。
・爪がないほうが振り抜く時に弦の抵抗が少なく、力を入れずに済む
・主症状が指が曲がったままになることなので、そうなっていないことの確認
・再び爪を伸ばしたときに、爪だけで弾くことがないようなることへの期待
・指先の感覚が鋭敏になることへの期待
などです。

♪音量
爪を使わないだけでなく、できるだけ力を入れない状態から始めているので指先が動く距離も小さくなり、必然的に音量は小さくなります。
また力を入れないので、指を深く弦にかけても弾弦の動作では弦の張力に負けて指先が浮いてきます。音量を得るにはこのときに指の関節をある程度「硬く」する必要があるのかな、などと思いながら、今のところは力を入れないことを優先してやっています。

♪指先を見る
弾弦時の指先の位置や動きを直接または鏡で目視しています。
「目を閉じて、感覚を研ぎ澄まして」というアプローチではありません。むしろ自分の感覚を信じないところからスタートしています。もちろん、最終的には目で見たもの(=実際の位置や動作)と感覚を一致させることを目指しており、それは「ボディマッピング」の考え方そのものであるとも思います。

♪楽譜
使った楽譜は概ね以下のとおりです。

・ギタルラ社の「青本」のアルペジオから数パターン
・禁じられた遊び
・ルビーラの練習曲
・ヴィラ=ロボスの練習曲第1番
・ソルの練習曲<セゴビアの5番:月光>
・ソルの練習曲<ゼゴビアの19番:変ロ長調>
・カルカッシの練習曲 Op.60-3

ima指をそれぞれ隣り合った異なる弦に置いた状態でも弾ける曲は結構あるものです。
ハイポジションでは弦が沈み込むので、それでも深いタッチができるように、あえてそのような曲も入れてあります。
左手の押弦が苦しいとき、それが右手に影響しないように、あえてそのような曲も入れてあります。
「禁じられた遊び」と「ルビーラの練習曲」はアルペジオの順序が異なるので、両方をやってみました。

■効果
まだ効果の確認は行なっていません。
ただ、フォーカル・ジストニア事情(その1)で書いた『短時間にa指を何度も動かすとm指がどんどん曲がっていきます』という状況はなくなっているようです。

■これからやること
上述のとおり、この1年でやったことは、小さな音でゆっくりとアルペジオを弾くということだけです。なので、これからやることはまだまだ沢山あります。

まず、同一弦を異なる指で弾くこと。当たり前ですが、スケールを弾く時などにふつうにやることです。
これには右手のポジションを修正する必要があります。手首から先をすこしだけ小指側に振ることでimaを同一弦上に揃えるのがいいのではないかと考えています。
また、この「同弦異指」とアルペジオのときの「異弦異指」を切り替える練習も必要ですね。カルカッシのOp.60-2なんか、ちょうどよさそうです

それから、連続弾弦です。これができないと速度が上がらない。
弾いた直後の指を戻すタイミングと次の指による弾弦のタイミングを合わせるのか、異なる指の動きは互いに無関係な動きとして行うのか(そんなことができるのか)、そのあたりも観察しながら試行錯誤していこうと思います。

上記2点に比べると、爪で弾くことや音量を上げることは優先度が低く、まだ先のことと考えています。

ともかく「発症するような弾き方をしない」の原則を維持しながら進めていきます。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です